興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
その内ご両親に挨拶に行かないといけないな、と言う。
お父さん、本当なんだろうなって…言いそう。
頼み込んで嘘の相手を連れて来たんじゃないのかって。
はぁ…。出来たら出来たで信じて貰えないかもって。変なの…。

会う会わないは別としても、一緒に住むようになるなら言っておいた方がいいな。
無鉄砲な事は出来ない年齢だし。

「ん?何か思い出したのか?」

「あ、いえ。お父さんが信じてくれるかなって思うと、ちょっと。嘘じゃないだろうなって、疑われるのかなって」

「あ〜、もしかして俺が偽装工作の為の男だって?」

「はい、いつまでも出来ないから、いよいよ困り果てて上司に頼み込んだ、みたいな」

こんな、これ見よがしな『優良物件』を連れて来て、なんて。

「ハハハ。まさに上司だからな。良く出来た話にされるかなぁ」

「何だか、どうなんでしょう」

いつも自業自得だからしようがない。説明すれば誤解は解けるでしょ。

「まあ、真実は一つ、だ」

「課長、…アニメの名台詞ですね、それ」

「…かもな。…藍原…」

「はい」

「いいんだな?後悔は無いか?」

「はい」

「その言葉、信じるぞ」

「はい」

返事に迷いがあってはいけない。少しでも不安が生じてしまう。

「うん。何だか中途半端な時間になったな。今から寝たら怠くなりそうだな」

そうですねと言うのは、危ない気がした。

「取り敢えず眠れなくても横になってたらいいんじゃないですか?」

「…そうだな」

ほっ。良かった。変な理屈で課長の都合のいいように切り返されるのかと思った。

「でも…、俺はシたい。一度してから横になろう」

えー、物凄く直球じゃないですか。反論は出来なかった。唇はもう塞がれていたから。
角度を変えながら甘くて深くて…。抱きしめながら横にされた。
課長の気持ちは凄く伝わってる。

「…そんな顔してたら、一度じゃ終わらないかもな…ん」
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