興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「あ~、そうか。それかぁ」

「…はい。お見合い写真も持ってこられてしまうから。…もう。
それで、あまりにしつこいから…、悪いとは思いましたが、相手は居るけどまだ結婚のタイミングじゃないと…親に嘘をついてしまいました。
今はそれで静かに収まっています。
いつまで誤魔化せるか…。きっとそのうち、会わせて欲しいとか、言われますよね…」

「そりゃあ言われるだろ。居るなら、親としては相手がどんな奴か気になるに決まってる。確かめたいよな、親の目で。
嘘とは言え、互いに結婚は考えているつき合いになってるって事だもんな。
うん、きっと、会わせろって、言って来るさ」

「…ですよね。…はぁ」

「誰か居ないのか?頼める奴、友達とか。
まぁ、それも誤魔化しだけど。もし会わせて欲しいと言われた時の為にさ」

「そんな人は居ないです。…あまり、男友達というのは」

「…そうか」

「いいんです。そうなったら本当の事を言いますから。誰かに頼めたとしても、結局、また嘘ですから。いつかはちゃんと言わないといけない事です」

「…そうだな。実際、本当の相手が出来た時に、また面倒臭くなるもんな」

「はい…」

「結婚かぁ。…家庭かぁ。俺もボチボチしないとだな~」

やっぱり。結婚、近いんだ。あ、…じゃあ、内緒で入籍していたは、無いという事かな。…内緒って言い方は元々可笑しいのよね。誰がいつ入籍したからって、それが内緒って事とは違うから。他人に知らせる必要なんか無いんだし。
では、あの女の子のお母さんと結婚を考えているんだ…。そういう事になるよね…。

「そうですよ。課長もお年頃なんですから、いいと思いますよ」

何、自棄になって言ってるんだろう…。

「ハハハ。…お年頃か。…そうだな。…その前に、…ちゃんと確認してみないとな…」

はぁ…。プロポーズ、そろそろって事かな…。はぁ。
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