興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
うわ…、フフ、うわ、何だったんだろう今の…。慌てて席に戻って来たけど。
近くに誰も居なかっただろうか。そんな事、気にする余裕も無かった。…ふぅぅ。
後半の方、聞きようによっては、一緒に住む部屋の話をしていたようにも取れちゃうし。

誤解は困る…。だけど誤解されてもいい。むしろ誤解されたい。だけど…誤解されたら架空の恋人と三角関係?みたいな?
それも変。
もしくは課長がずっと内緒にしてきた恋人は私?
それとも課長が私の噂の恋人?
立場を変えて見ても、どれも無い事だ。
止めよう。…考える事自体空しい…。

はあぁ。もう、とっくにお分かりでしょうが、私は課長の事が好きなのです。
だけど届かない思いですね。このままでは。
私には架空の結婚待ちの恋人が居るらしいから。
やるべき事は解っている。誤解を解いて課長に告白する事。
それしかない。
毎日、顔が見えるからって、安心していては駄目だ。
気が付いたら誰かにさらわれているかも知れない。
ゔ、そんなのは嫌。
告白して玉砕されるよりも、何もしなかった事にやり切れない思いになるだろう。
だけど…恋人は居るかも知れない。そこは確証がない…。

課長…。一条 匠。私の好きな人…。
一番に好きなところは仕事が出来るところなんだけど。
近寄りがたいというよりどちらかと言えばフランクだし。そんな人となりも好き。
さっきもそうだったけど、プライベートな事なのに突然聞いても話してくれた。
ま、ちょっと内容的にというか戸惑いはあったようなんですが。そこは、仕事中に妙な事を聞き始めた私のせいだけど。


はぁぁ…あ〜あ〜。週末だというのに…、退社後にデートの約束がある訳じゃないし。急いで仕事を片付けてしまおうという気持ちにもならない。かと言って、退社時刻を過ぎてまで、意味のない残業で長居したくもない。
ぼちぼち帰り支度の為の支度をしようかな。

…はぁ。誰かご飯に誘って〜。
その誰かは、やっぱり課長がい〜い。……課長…。

…。

課長、まだ居る。当たり前か…。まだまだ忙しそう…。
…片付けようっと。

「藍原」

…?はい?…え?
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