興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
ピンポン。
ピンポン、ピンポン…。

「はい、はい」

誰だもう…。煩い。

「…はい。おわっと。…藍原、どうした。あ、そうか、布団か」

…。

「お邪魔します」

ヒールを脱ぎ捨てると部屋に向かって歩いていた。

「あ、おい。おい、どうした」

…。

「はい。あげます」

勢いよく進んでいた足を急に止めた。

「お、おお。あ、おい、藍原。待て。こら、おい。待てって」

コンビニの袋を押し付けるように渡された。中身は見なくても解る。多分大量のスイーツだ。

「どうした…」

「今夜もここで寝ます」

「はぁあ?」

「坂本さん、私のソフレですよね?
だったら、いつ来ても、いつ一緒に寝るのも…私に付き合ってくれますよね?」

「藍原…」

どうした…。また、そんな顔をして。

「…今日、ちゃんと言いました。私は私のケリを付けましたから」

「藍原…」

だからなのか…。また、ぎりぎりの状態で帰って来てたのか。

「…抱きしめてください」

ボタッ。
苦しそうな顔で懐に入り込んで来る藍原を受け止めたら、手から袋が落ちてしまった。

「…ああ。…これでいいか?」

少しの隙間も無いほど、しっかりと抱き込んだ。

「…はい。…有難うございます」

はぁ。本当…、俺達はハプニングだらけだな。
いつまでも、立ったままという訳にもいかないか…。

「…ん、藍原。座るか。取り敢えずソファーに座ろう、な?」

身体を離して顔を覗き込む。
頷いた。
ソファーに座らせた。
藍原の頭を胸に付けるようにして、両手で囲うように抱き寄せた。

「暫くはこんな感じでいいか?」

「…はい。有難うございます」

はぁ、…。こんな風にずっとしたとしても、本当に…男女の意識って、今の藍原には無いのかな…。
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