興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「里っ緒〜」

「あ、パパ〜!」

「お帰りなさい、一条さん」

「あ…はい。お世話になってます」

…いつからお帰りなさいって言われてたっけ?

「短い間でしたが有難うございました。母親が退院出来る事になりました」

「そうですか、それは良かったですね。
では、里緒ちゃんはまた元の保育所に?」

「はい。母親の職場の方に併設されているのでそちらに。二週間程でしたがお世話になりました、有難うございました。さあ、里緒も」

「せんせい、さようなら」

「はい、里緒ちゃんさようなら。元気でね」

「では、有難うございました」

「はい、有難うございました、おやすみなさい」

「バイバイ、せんせい」


よっこいしょ。里緒を抱っこした。

「うわ、抱っこいいの?パパ」

「いいよ。里緒、あのね、里緒にお願いがあるんだ」

抱っこして顔の近い里緒は俺の頬を両手でペチペチ触る。

「なに?パパ?」

「里緒、ちゃんと聞いて。お母さん、今日帰って来るだろ?」

「うん!」

「あのね、お母さん、また、一生懸命、お家の事をしたりお仕事を頑張るから、里緒もお母さんのお手伝いをして欲しいんだ。それと、自分で出来る事は自分で出来るかな?」

「うん。里緒出来るお手伝いもするよ」

「うん。お母さん、頑張り過ぎて、またお腹痛くなったら嫌だろ?」

「うん。いや」

「うん。ど〜んてぶつかったり、抱っこしてって、言わないって約束出来るか?」

「出来る」

「よし。じゃあ約束な」

「うん。約束」

指切りをした。

「里緒、帰り、買い物して帰らなきゃいけないから、里緒も選ぶの手伝ってくれよ?」

「うん。里緒、お母さんの好きな物知ってるよ」

「うん。お母さんの好きな物、一杯買って帰ろうな」

「うん!」
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