興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
荷物は殊の外重く、里緒も居るし大変だった。
帰り着いた途端、母子の感動の対面になった。
俺は買って来た物を冷蔵庫にしまい、上着を脱ぎ、ネクタイを解き、ご飯の支度をした。

ハンバーグを作りながら、あまり濃くならないように野菜たっぷりの味噌汁を作った。
トマトをスライスしてモッツァレラチーズと一緒に皿に盛った。

よし、こんなもんだ。

「葵〜。いいかこんな感じで」

「わぉ、有難う、匠」

「俺さ、今日はこれで帰るから、後は里緒と水入らずで」

「ご飯は?一緒に食べてかないの?」

「うん。明日、昼前に里緒の服とか持ってまた来るよ」

「そっか…。里緒、寂しがらないかな」

「大丈夫、俺なんかより、母親がいいに決まってる」

「…うん」

「どうした、不安か?
あ、里緒にお手伝いと、自分で出来る事はするように言ってある。約束だぞって指切りしたから、そんなに甘えたりしないかも知れない。
葵、今は無理すんなよ?安定期になって大丈夫になったら、また、里緒、一杯甘えさせてあげたらいいんだから」

「うん。有難う。じゃあ、明日、待ってるね」

「ああ。里緒〜。明日また来るからな〜」

「うん。バイバイ、パパ〜」

「あ、あっさりしたもんだな、じゃあな、里緒」

「ハハ、フラれてるー。なんだかもう、匠、すっかりパパね」

「ああ。俺も何だか呼ばれ慣れたよ。
じゃあ、明日。あ、居る物ないか?暫く空けてたんだ、必要なものとか大丈夫か?」

「うん。取り敢えず食材は今日一杯買って来て貰ったし、あとの物は何か必要でも大した事ないから、あっても自分で行けるよ」

「一度に沢山買うなよ、重いから」

「解ってる。じゃあね、おやすみ」

「うん、じゃあな」
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