興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
☆☆☆
「パパ〜」
駆け寄ってきた。
「お、里緒。さあ帰ろうか」
「お疲れ様です、一条さん」
「あー、いつも有難うございます」
「里緒ちゃん、今日もいい子でしたよ」
いい子か…。
「そうですか」
「パパ、里緒、今日、カレーがいい」
抱き上げていたが下ろして鞄を受け取った。
「えー、またか?ほら、鞄…」
里緒の肩にかけた。
「うん。里緒、パパのカレー好き」
「そうか。じゃあ、そうするか」
「うん」
靴を出して履き終わるのを待っていた。。
「では、有難うございました。おやすみなさい」
手を繋いだ。
「はい、おやすみなさい。里緒ちゃん、また月曜日にね」
「は〜い。さようなら」
会社から近い保育所。新しく出来たばかりだがタイミングが良かった。
里緒はこの保育所に預けている。時間延長出来るので、仕事をしている俺に取って、この上なく助かっている。
下からジーッと見詰められた。
「ん?里緒、何だぁ?」
「パパ、抱っこ…」
「駄〜目。歩くの」
「え〜。里緒、疲れたよ…」
「それは一杯遊んだからだろ?パパだって疲れてるんだ、ぞ~」
里緒の脇をくすぐった。
「わっ、パパ。くすぐったい。キャハハハ。あのね、はぁ、りょう君とね、みくちゃんと、追いかけっこしたよ」
「そうか。うん。うん。よし、手、繋ぐか」
「うん」
頭をワシャワシャ撫でて手を繋いだ。
「よし。これで歩いて帰ろう」
「う〜、パパ、ずるい」
「ずるくないよ。里緒はお姉ちゃんになるんだ。赤ちゃんに負けてもいいのか?」
「う〜ん。負けてもいいよ。里緒パパ好きだから、パパに抱っこしたいもん」
まぁな。よく解らないけど、下が出来たら、甘えたいタイミングで甘えられなくなるかも知れないんだしな。
「んー、じゃあ、今日だけな」
俺は…甘いな。こういうのは駄目なんだよな、今日だけにならなくなるのに…。
「うん」
里緒を抱き上げた。お。ギューッと抱き着く小さい体は、軽くて必死で…。
ん…愛おしいもんだな。
「さあ、帰ったらカレー作ろうな」
「うん。里緒も手伝う」