興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
あー、…こんな時は自ら無邪気に抱き着いて来るんだよなぁ。
だからって俺が短く声を上げて驚くかっていったら驚かない。いつもだが…当たり前か。

そういう感情を、藍原は自分に照らし合わせるという事は、出来ないのかな…。
考えてみようとしなければ気が付かないか…。

「冷蔵庫に入れて確保しておきます。味わって大事に食べます」

「あ、ああ。大丈夫だ、取ったりしないから」

「でも、坂本さんの事だから、何かしそうですもん」

「大丈夫だって。今回に限っては何もしないから」

「じゃあ、信じます。
スープ作ります。珈琲、飲みますか?ていうか入れます。飲んでてください」

半ば強制的に入れて、ソファーに座っている前のテーブルに置いた。
早く用意して早く作り始めてしまいたかった。
鍋に入れて終えば、付きっ切りで調理しないでいいから。

「お、サンキューです」

直ぐキッチンに戻って野菜を小さく刻んだ。鍋に、水、コンソメと一緒に入れ火にかけた。
よし、後は時間と供に勝手に出来るはず。

珈琲を手に隣に座った。

何だか、変〜。どうしてこんなに落ち着くんだろう。
ていうか、早くこうして横に座りたかったのかな…。

待たしてるって事より…するべき事を早くしてしまって、一緒に居たかった?
私の考え方は自分勝手で図々しいのかな…。
恥ずかしいとこばっかり見せまくっているからかな。
……甘えているのかな。

「ん?どうした?話なら、いつでもいいぞ?聞くぞ?」

「坂本さん…」

「うん?」

「坂本さんて、何?」

あ゙?はぁ…また、それか?それに今回は俺が何?だって?…。
そんな事、本当に話したい事では無いだろ?

「哺乳類だ。人間の男だ」

「それは…聞かなくても解ってます。逆に女子って言われたらびっくりですけど」

「…何って聞かれてもな。何が知りたいんだ?質問の意図が解らない。
藍原は…どんな答えが欲しいんだ?」

「んー。坂本さんと居ると落ち着くんです。だから、それは何?」

…そんな事はなぁ。

「さぁな。あ、沸いてるみたいだぞ?噴いてる。アク取った方が良くないか?」

「あー!大変。ちょっと待ってください、中断です」

一般的に落ち着くって事は、好意的って事なんだけどな…。
解んないのかよ…。
…言わせたいのか?…。
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