興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「里緒、手を洗ったら手伝ってくれ」
「うん、わかった」
「これ切れるか?こんな感じに。大きくなっても小さくなってもいいから」
「うん、やってみる」
今回は固い人参だ。
どう見ても危なっかしい。ハラハラする。だけど子供用の包丁で何とか切っていく。
「…できた。パパ、できたよ」
「うん。うん。上手く出来たな。よし、終わり」
里緒を踏み台から下ろした。
「後はパパがやるから。本、読んでてくれるか」
「は〜い。あ、パパ、手、洗う」
抱き上げて蛇口のレバーを下げた。ゴシゴシと言いながら手を擦り合わせている。
「うん。よし洗えたぞ。拭いて」
「は〜い」
後は…、適当だ。鍋に肉を入れ炒め、野菜を入れ軽く炒める。水を入れて、と。火を弱めて煮ておく…。
「里緒?先に風呂入るぞ〜」
「は〜い」
おっと、ご飯も炊いてと。
「パパ、美味しいよ」
「そうか」
頭をワシャワシャと撫でた。
里緒の分には子供用のルーを入れ、別鍋に取った具材に大人用を入れて作った。
カレーの時はそうしているが、里緒のカレーがそんなに美味しい物なのか、正直よく解らない。
味覚の違い。
まだ刺激の強いものは駄目だ。
味見はするが、子供用は甘いというか柔らかい優しい味だなと思う。カレーとは名ばかりな感じ、別物だな。
「ごちそうさまでした!」
「よ〜し、片付けたら歯磨きだな」
「うん」
はぁ…。明日は公園かな。明後日はアニメ映画か。約束だからな。
しばらく俺の時間はないな。
里緒、自分で料理出来るようになりたいのかな。
お姉ちゃんになってるじゃないか。