bug!
河川敷きの芝生広場には私たちの他には誰もいなかった。
近くに遊具のある広場もグラウンドもあるから、そっちのほうが人気があるのだろう。
とにかく広々としていて、見渡す限りなにもない。
短く刈られた芝生のさふさふという感触がスニーカーの裏から伝わってきて、なんだかひどく懐かしい気持ちになる。
土手の方は、背の高い草が自然に生えていて、おそらくそこが晴のいう景観保全区域なのだろう。
所々に大きな木があって、その下だけ陰になっているだけで、日陰もなかった。
「よいしょっと」
晴が大きなリュックサックを肩からおろして、その大きな木の根本に置くと、いかにも重そうな音がした。
組んだ両手をぐーっと上にのばしてストレッチをしている姿を見ても、やっぱりかなり重いのだろう。
「前から思ってたんだけど」
ストレッチが終わるのを待って話しかけると、晴は、ん?と小首をかしげた。
「なにが入ってるの? そのリュック」
「なにって、そんな特別なものは……」
言いながら、晴はリュックサックをじじーっと開けて、中身をかざごそと物色する。
「タッパーでしょ、密封袋でしょ、デジカメ、メモ帳、捕虫網、ループ、ライト、虫かご、ポイズンリムーバー……」
「待って! ポイズンリムーバーってなによ!?」
「毒出しキットです」
晴はにっこり笑う。
その笑顔、こわい……。
「え……蛇とかいるの? このへん」
「いませんよ。大丈夫です!」
よかった……。
「蜂とかそういうのに刺された時用です」
よくない!
近くに遊具のある広場もグラウンドもあるから、そっちのほうが人気があるのだろう。
とにかく広々としていて、見渡す限りなにもない。
短く刈られた芝生のさふさふという感触がスニーカーの裏から伝わってきて、なんだかひどく懐かしい気持ちになる。
土手の方は、背の高い草が自然に生えていて、おそらくそこが晴のいう景観保全区域なのだろう。
所々に大きな木があって、その下だけ陰になっているだけで、日陰もなかった。
「よいしょっと」
晴が大きなリュックサックを肩からおろして、その大きな木の根本に置くと、いかにも重そうな音がした。
組んだ両手をぐーっと上にのばしてストレッチをしている姿を見ても、やっぱりかなり重いのだろう。
「前から思ってたんだけど」
ストレッチが終わるのを待って話しかけると、晴は、ん?と小首をかしげた。
「なにが入ってるの? そのリュック」
「なにって、そんな特別なものは……」
言いながら、晴はリュックサックをじじーっと開けて、中身をかざごそと物色する。
「タッパーでしょ、密封袋でしょ、デジカメ、メモ帳、捕虫網、ループ、ライト、虫かご、ポイズンリムーバー……」
「待って! ポイズンリムーバーってなによ!?」
「毒出しキットです」
晴はにっこり笑う。
その笑顔、こわい……。
「え……蛇とかいるの? このへん」
「いませんよ。大丈夫です!」
よかった……。
「蜂とかそういうのに刺された時用です」
よくない!