bug!
捕まえたバッタは、てっきり持って帰るのだと思っていたけれど、晴はしばらくうっとりと眺めながら、私にバッタの話(クルマバッタとクルマバッタモドキの違いは、背中にXの模様があるかどうかだとか)をしたあとで、土手に返してくると言う。
「やっぱり仲間といるほうが楽しいだろうし」
それでも少し名残惜しそうな顔で晴は土手の方へ歩いていった。
しばらくして戻ってきた晴は、私の顔を見るとふふっと笑って後ろ手に隠していた手をすっと伸ばした。
「な、なにっ?」
虫でも持ってきたかと反射的に身を退いてしまう。
だけど、それは虫なんかではなくて。
「ありがとう……」
たくさんの黄色の菜の花だった。
お花屋さんに売っているバラとかガーベラとかユリとかじゃなく。
土手で摘んできた菜の花。
きっと、よく見たらあぶらむしとかついてるに違いないのだけど。
私は受け取った。
あぶらむしくらい、なんだっていうの。
「やっぱり仲間といるほうが楽しいだろうし」
それでも少し名残惜しそうな顔で晴は土手の方へ歩いていった。
しばらくして戻ってきた晴は、私の顔を見るとふふっと笑って後ろ手に隠していた手をすっと伸ばした。
「な、なにっ?」
虫でも持ってきたかと反射的に身を退いてしまう。
だけど、それは虫なんかではなくて。
「ありがとう……」
たくさんの黄色の菜の花だった。
お花屋さんに売っているバラとかガーベラとかユリとかじゃなく。
土手で摘んできた菜の花。
きっと、よく見たらあぶらむしとかついてるに違いないのだけど。
私は受け取った。
あぶらむしくらい、なんだっていうの。