bug!
透明なガラス皿の中に浮かんだ白玉をスプーンでつつく。
『ゴマダラカミキリみたい』
そんなふうに言われてしまうと食欲が失せてしまったじゃないか。
ゴマダラカミキリ、がどういう虫なのかは、さっぱりわからないのだけど。
一瞬、晴に「どんな虫なの?」と聞こうとして、思いとどまった。
聞いてどうするんだ。
「食べないんですか? おなかいっぱい?」
晴は私の顔と白玉を交互に見ながらのんびりと聞く。
まぁね、と私が答えると、晴は「じゃあ食べて良いですか?」と白玉を指差した。
「いいけど、食べかけだよ」
晴は、やった、と嬉しそうに言うと、私の残した白玉をふたつともつるんと食べてしまった。
「わ、俺ここの白玉、初めて食べたけど、おいしいですね」
「うん」
「ところで桜子さん」
「ん?」
「今週の日曜日って暇ですか?」
「は?」
「桜子さんと行きたいところがあるんですが」
「……」
「あ、もう予定入っちゃってますか?」
「……いいけど」
やっぱりこれってデートですか?
今度こそ、これってデートですか?
『ゴマダラカミキリみたい』
そんなふうに言われてしまうと食欲が失せてしまったじゃないか。
ゴマダラカミキリ、がどういう虫なのかは、さっぱりわからないのだけど。
一瞬、晴に「どんな虫なの?」と聞こうとして、思いとどまった。
聞いてどうするんだ。
「食べないんですか? おなかいっぱい?」
晴は私の顔と白玉を交互に見ながらのんびりと聞く。
まぁね、と私が答えると、晴は「じゃあ食べて良いですか?」と白玉を指差した。
「いいけど、食べかけだよ」
晴は、やった、と嬉しそうに言うと、私の残した白玉をふたつともつるんと食べてしまった。
「わ、俺ここの白玉、初めて食べたけど、おいしいですね」
「うん」
「ところで桜子さん」
「ん?」
「今週の日曜日って暇ですか?」
「は?」
「桜子さんと行きたいところがあるんですが」
「……」
「あ、もう予定入っちゃってますか?」
「……いいけど」
やっぱりこれってデートですか?
今度こそ、これってデートですか?