8歳上のパパ【長期更新停止中】
梨花子が言う「あげる人」
それは間違いなく彼のことだ。
でも……。
頭では理解していても、戸惑いは隠せない。
あたしは口をキュッと結び、俯いていた。
それを見た梨花子は、ものすごい勢いでズカズカと歩いて来て、あたしの腕を掴む。
「あのね、美未はグダクダ考え過ぎなんだよ。
いいじゃない、普通に渡せば。〈家族〉なんでしょ?」
「でも……」
「でもじゃないっ!」
……どうせ美未のことだから、渡したら困らせるかも、とかバカなこと考えてるんでしょ」
「うっ……」
ず、図星だ……。
さすが長年の親友。
――そうなんだ。
別に意識する必要なんてないのに。
普通に買って、普通に渡せばいいのに……。
だって彼はあたしのパパなんだもん。
チョコをあげるくらい普通のはず。