8歳上のパパ【長期更新停止中】
11.急接近の夜
もう遅い時間ということもあり、スーパーには値引きされた商品が並ぶ。
お惣菜を買って済ませてしまう……という手もあるけれど、物心ついた時からずっと家事をやって来たあたしにとっては、作るという選択肢の方が多い。
これも一種のプライド……なのかな?
「何か食べたい物ありますか?」
そう尋ねたあたしに、彼はニコリと微笑むと、
「……味のない卵焼き」
と、ちょっとふざけたような答えが返ってきた。
一瞬にして、あの時の失敗がフラッシュバックして、顔がカァッと熱くなるのが分かる。
「あ、あれは別にっ!!
ケチャップ付け忘れただけって言ったじゃないですか!!」
慌てたように言うと、彼は面白くて堪らないというようにケラケラ笑い出した。