8歳上のパパ【長期更新停止中】
「……ん」
一志が片方の手袋を外し、あたしに手を差し出す。
あたしは、迷うことなく、その手に自分の手を合わせた。
ぎゅっと握られた手から、一志の体温が伝わってくる。
……あったかい。
2人の間に、さっきまで空いていた微妙な距離は、今はもうない。
「……オレ、別れた後も、一度だって美未を忘れたことなかったよ」
「……うん」
「これからまた、宜しくな」
「うん、こちらこそ」
もう一度、固く手を握りなおし、あたしたちは足並みをそろえて再び歩き出す。
そして今、恋人という、2度目のチャンスを乗せた道を進み始めた。
今はまだ、先は見えないけれど、きっと明るい。
しっかりと繋がれた一志の手のあたたかさに、ただただそう思えたんだ。