8歳上のパパ【長期更新停止中】


ダウンジャケットを羽織り、玄関を出て行く彼の後ろ姿を、あたしは無言で見送った。


結局、何も分からずじまいだ。


彼があたしに、冷たくした理由も。
切なそうに「ごめん」と言った理由も。


何ひとつ、すっきりしないまま、二人きりの時間は終わりを迎えた。


玄関が閉まる音と同時に、リビングにひとり残されたあたしの頬を、冷たい滴が一筋伝う。


我慢……してたのに。

自分の心の弱さが腹立たしくて、いたたまれなくなる。



あたしは今、どんな顔をしているのだろう?


この切なくて、どうしようもない程の胸の痛みからは、


いったいどうしたら、


抜けだせるのだろう――……?






すっかり日が沈み、薄暗くなった部屋の中で、
あたしは一人ポツンと、立ち尽くしていた。





















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