8歳上のパパ【長期更新停止中】
そんなふうに、完全に作業をする手を止めている店長に、同情の視線を向けた時だった。
「あっ!思い出した!!」
左の手のひらに、軽く握った右手をポンと押し付けながら店長が大きな声を上げた。
「何?
ってか、その顔変」
ブラック梨花子が、冷たい一言を発する。
梨花子……。
さっきからちょっと毒を吐きすぎじゃ……。
確かに口を開いたままの店長の顔はおかしいけど。
「思い出したって何をですか?」
あたしは、いかにも聞いて欲しそうな店長に、最もな質問を投げかけた。
その瞬間、一瞬だけ風が吹いて、人もまばらな公園を囲う、裸の桜の木々を揺らす。
その様子はまるで、彼らも何かを思い出したかのようだった。