8歳上のパパ【長期更新停止中】
「……純一くん!一志くんが来たわよ!」
音楽を聴いているからか、彼はママの言葉にも、一向に振り向く気配がない。
そんな彼にズカズカと歩み寄り、イヤフォンと新聞を一気に取り上げるママ。
「何だよ?せっかく読んでたのに」
「何だよ、じゃないでしょ!聞こえてるくせに。
ほら、一志くんよ。美未の彼氏。ちゃんと挨拶して!」
「……あ〜……今日だっけ」
そう言って面倒くさそうに立ち上がり、視線を向ける。
心臓が、びくっと跳ね上がるのが分かった。
「あ、は、はじめまして。
堤一志と言います。美未さんとお付き合いさせてもらってます」
「……ども」
緊張気味に挨拶をする一志に対し、彼が発したのはたったこれだけ。
この前のパーティーの時以上に、周りの空気がひんやりとしている気がした。
……ズキ。
胸に、痛みが走る。
「まったくもう!純一くんったら……」
ぶっきらぼうな態度をママに説教されている彼の姿を見ながら、あたしは複雑な思いを抱えていた。