8歳上のパパ【長期更新停止中】


リビングに戻ると、ちょうど一志が帰り支度をしているところだった。

「あ、もう帰るの?」

「もうって……。だってもう9時だぞ?」

「えっ嘘……」


驚いて時計を見ると、9時まであと5分のところを指している。

いつのまに、こんなに経ってたんだろ?

考えてみたら、一志が来てからのあたしは、彼のお酒のペースばかり気にしていて時間なんて全然意識していなかった。


「……純一さん、大丈夫だった?」

玄関に向かう途中、一志が優しく問いかける。

バチッと目が合ったけど、慌てて逸らしてしまった。


「うっうん!!
部屋行ったらすぐに寝ちゃったから」

「はは。そっか」

キスの余韻のせいで、柔らかく笑う一志の顔を、きちんと見ることができない。


すぐに寝た。
その割には、あたしがリビングに戻るのは遅かったはずなのに、一志は何も言わずに優しく微笑んでいた。







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