8歳上のパパ【長期更新停止中】
エレベーターに乗り、エントランスまで一志を見送る。
「なんか、ごめんね。
せっかく来てくれたのにろくに話せなくて」
「あーいいよ、別に。
久々に奈々子さんと話せたし。相変わらずお喋りですげぇ懐かしかった。
ありがとな」
「うん……」
最後まで気遣いを忘れない一志に、胸がチクリと痛む。
罪悪感……なのかな。
予想外の事態だったとは言え、彼氏以外の人とキスをしてしまったことに変わりはない。
「んー!!
寒いけど、気持ちいいや」
オートロックのドアを開け、外の空気に触れると、一志が大きく背伸びをする。
そして、一歩後ろにいたあたしの方を振り返ると、フッと微笑んだ。
「……なんかさ。オレらってやっぱり似てるのかもな」
「え……?」
「いや、境遇っつーの?
ウチも母親再婚したし。そういう意味ではお互いに分かり合える部分があるのかなーって」
そう言うと、さりげなく片方の腕であたしを抱きしめる。