8歳上のパパ【長期更新停止中】


「あ……」

パチリと重なった視線に、一気に顔が熱くなっていくのが分かる。


ヤバイ。
目が合わないようにしてたのに……。


だって、目が合ったら、思い出してしまう。
昨日の夜、部屋を出ようとしたあたしを引き止めた彼。


そのあとの、温もりと柔らかな感触――……。


「し、知ってたなら言ってくれれば良かったのに」


慌てて誤魔化そうとしたせいで、またしても噛んでしまった。

これじゃあ、意識しているのがばればれだ。


激しいドキドキをなんとか落ち着かせようと、コーヒーを淹れる作業に集中する。


だけど、ふと背中に視線を感じた。
不思議そうにあたしを見る視線。

その証拠に、

「いや、オレもすっかり忘れてた」

彼がそう呟くまでに、ほんの少し、間ができていた。












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