8歳上のパパ【長期更新停止中】
それまで手を止めることなくドーナツを食べ続けていた梨花子も、雰囲気が読めたのか緊張した面持ちであたしを見つめる。
このドーナツ屋で、今まであたしたちはたくさんお喋りしてきた。
何気ない日常の出来事から、真剣な話まで全部。
だから今日も最初からここって決めていた。
「あのね、梨花子」
「ん……?」
「あたしね、はっきりと分かっちゃったんだ。
今日みんなに好きな人いる?って聞かれた時、自分の心の中に誰が住んでいるのか」
梨花子は相槌の代わりに、コップの中でストローをくるりと回す。
氷がカランと音を立てた。
「だから、言えなかった。一志のこと。言ったらいけないって思った……」
そう――。
もしあの時言っていたら、あたしは今頃罪悪感でいっぱいになっていたと思う。
「美未、それって……」
途中で止められた梨花子の言葉に、あたしはゆっくりと頷いた。