8歳上のパパ【長期更新停止中】


気が付いたら、頬に涙が伝っていた。


悲しいわけじゃない。

切ないわけでもない。

ただ……苦しかった。


相手がいる人を好きになる。
しかもその相手は自分のママ。


分かっているのに、消えなかった気持ち……。


それを打ち明けた今、あたしにはもうひとつ言わなければいけないことがあった。


自分の中で精一杯考えて出した答え。
まだ伝えきれていないから……。



何も言わないママの横を通り過ぎ、あたしはリビングの棚に置いてあるパソコンの上から、一通の手紙を手にする。


昨日、悩みながら書いた手紙。

何度も何度も書き直して、ようやくまとまった自分の気持ち。


四角い封筒を、両手で胸に抱きしめ大きく息を吐く。


これで、いいんだよね……?


だって、あたしにはこれしか思いつかなかったんだ。


手紙を持ち、再びママの前に立つと、あたしはゆっくりと口を開いた。


「ママ、これ……彼に渡して欲しいんだ」













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