8歳上のパパ【長期更新停止中】


……何も言い返すことができなかった。


悩み抜いたなんて言いながら、甘過ぎる考え。

容赦のないママの言葉に、そのことを痛感させられる。


「まったく……自分の気持ちもろくに伝えないまま出て行って思いを消そうなんて」



――それはまさに図星で。

ギュッと口を結び、俯いたあたしの様子に、ママは更に呆れたような声を上げた。


「アンタもまだまだね」

「……」


……またしても、言い返せない自分が悔しかった。

そんな思いを拳に込めて強く握る。


――と、その時。


「……ま、いっか」

「え、……?」


聞こえてきたその声に顔を上げると、ついさっきまでの鋭い表情とは違い、ママは優しくて穏やかな笑みを浮かべていた。


「本当はもう少し強い美未を期待してたけど。
不利な状況にも関わらず、アンタが正直に、自分の気持ちを打ち明けたことは事実だもんね」


「ママ……?」


いったいどういう心境の変化なのだろう?
そのあまりの変わり様に、あたしは戸惑いを隠せない。











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