8歳上のパパ【長期更新停止中】
「……あんな彼、見たことないって思ってる?」
「え?」
あたしの心を見透かしたかのような一言に驚いて、ママの顔を見つめる。
昨日からそんなことばかり。
ママは本当に、周りをよく見ている人。
「確かに、今の美未が知ってる純一くんはデキる男の人なのかもしれないけど。
1年前までは違ったのよ?」
「1年前?」
「そう。毎日毎日、あんな風に怒鳴られて、いっつも落ち込んでばかりで。
当然、営業成績も最下位続き。あたしなんて、どうしてあんなの雇ったんだって嫌味言われるくらい」
当時のことを思い出したのか、部屋の様子を見ながら困ったように笑うママ。
信じられなかった。
あの彼に、そんな過去があったなんて。
ガラスの向こう側で項垂れる彼を見つめる。
1年前と言えば、あたしもちょうど落ち込んでいた頃。
それまではいつも……?
……。
……。
「あ……」
その時、あたしの記憶の中で、何かが結びついたような気がした。