8歳上のパパ【長期更新停止中】
「オマエ、いい加減にしろよ!!」
「……すみません」
「ったく、何回同じこと繰り返せば気が済むんだよ……」
ちょうど自動ドアから社内へと入ってきた、営業帰りと思われるスーツ姿の男性2人の会話は、ロビーに響き渡るほどの声だった。
……と言っても、大声を出しているのは上司と思われる年配の男性。
もう一人は、黒縁メガネでヨレヨレスーツの若い男性……。
あんな大声で怒鳴られたら、それはもう注目の的な訳で。
「あーあ、まーた怒られてるよ」
「ホント、可哀想」
「でも、確かに全然成長しないもんね……」
ロビーにいた他の社員からは、こんな会話も聞こえてくるほど。
あたしは、社会人も大変だな、なんて思いながらその様子を見ていた。
でも……。
「反省しろっ!!」
そんなふうに言われて、エレベーターに乗り込む上司を見送って。
近くにあった椅子に力なく座った若い男性。
ガクッと項垂れたその丸い背中が、一志に振られて落ち込んでいた自分と重なって……。