8歳上のパパ【長期更新停止中】
それからあたしも立ち直って、そんな出来事すっかり忘れていたけど。
「まさか……あの時の……?」
「……思い出したみたいね」
戸惑うあたしに、ママはゆっくりと可笑しそうに、その後のことを話し出した。
「翌日だったかな。空っぽのお弁当箱持って、純一くんが社長室に来たの。
“娘さんのおかげで元気出ました。頑張るのでクビにしないでください”って。
必死で頭下げるから、何があったのかと思ったわよ」
「……はは」
大胆な自分の行動がちょっと恥ずかしくなって、今度はあたしが苦笑いを浮かべる。
「でもね、それだけじゃなかったの」
「え?」
「彼、なんて言ったと思う?
娘さん、彼氏いるんですか?って。もうびっくりしちゃった」
「……」
「それまでの彼って、営業のくせにイマイチ積極性に欠けるといか……。
だから、その言葉を聞いて、チャンスだと思った。彼を伸ばすための。
あたし言ったわ。美未はアンタみたいな弱弱しい男は好きじゃないって。
美未のことが気になるなら、営業成績がトップになるくらいのことしてみなさいって」
そう言うママの目は、完全に社長の目だった。