8歳上のパパ【長期更新停止中】
どこかで……聞いたことのある声に、あたしはすぐさま反応する。
「あ、あたし行きます!」
あたしはざわつく胸の鼓動を隠しながら、食べかけのお弁当を置いて立ち上がった。
「――やっぱり」
店の前に立っていた人物を見て、あたしは言った。
でも、当の本人は驚いたみたい。
「美未ちゃん……?」
あたしを見た瞬間、目を見開く。
だけど考えてみれば自然なこと。
ここはママの会社の近くなんだし。
営業帰りの彼が、立ち寄ることだって十分にあり得る。
「……どのお弁当にしますか?」
少しだけ照れながら言うと、彼は朗らかに微笑んだ。
「じゃあ、唐揚げ弁当を――……」