8歳上のパパ【長期更新停止中】
「――美未ちゃん、いいの?
まだ彼、こっち見てるけど」
戻って来たあたしに、篠原さんが心配そうに声を掛けてくる。
――これで……いいんだ。
今ならまだ、引き返せる。
ただ単に、あたしが彼を好きなのをやめればいいだけ。
そうすれば、家族として、一からスタートできる。
そんなの、最初からわかっていたことじゃない。
彼は、ママの旦那さんとしてウチにやって来たんだもん。
あたしが入る隙なんて、どこにもなかったんだ。
好きになっちゃ、いけない人だったんだ――……。
グッと拳を握り、篠原さんと、いつの間にかそばにいた水野店長に笑いかける。
「大丈夫ですから」
……それからしばらくして、彼は会社の方へと歩いて行った。
空っぽのお弁当箱を持って。