8歳上のパパ【長期更新停止中】
――それからしばらくして、梨花子が手を洗いに車を離れた時、
「あのさ、美未ちゃん」
気まずそうに、店長が話しかけてきた。
「……なんですか?」
店番をしていたあたしは、その声に後ろを振り返る。
まだ、10時を少し回ったところだから、客足はまばらだった。
店長は、少し悩んだ後で、言葉を選ぶように話し始める。
「うんと……その……例の彼のことなんだけどさ。
彼、美未ちゃんの弁当食ってるとき、すげぇ幸せそうだったよ」
「え……?」
「いや……何て言うのかな?何かを思い出すような……。
とにかく、嬉しそうだった」
それだけ言うと、数日前まで、あたしたちが座っていたベンチの方に目を向けた。