ブラッディーマリーと最弱男
あと少し…
あと少しで!!
光輝く銀の薔薇を象っている先に羽を持った姿の女性が形どられているそれは、精巧で今までのどの武器よりも美しかったーー
オーギュストが右手を伸ばし取ろうとした瞬間、バチッと腕に強い衝撃が走った。
「ぐっ…」
強い衝撃にも関わらず、左手もそれを手にしようとした瞬間、自分以外誰も居ないはずの場所からバサリと音がして向き直る。
そこに現れたのは黒い羽根、金の髪に蒼い瞳の少女だったーー
「お前は…ヴァンパイアが何故ここに?」
オーギュストはまだ痛む右腕を左手で庇い目の前のヴァンパイアに話し掛けた。
「人間が触れていいものではないわ」
ヴァンパイアの少女はオーギュストにキッと強く睨み敵意をむき出しにする。