ブラッディーマリーと最弱男
「ふふっ、なぜラズが私の顔を見ないのか気になるのでしょう?」
彼女は柔らかな笑みを浮べてオーギュストの目の前に歩き出した。
遺跡の硬い床にコツコツと彼女のヒールの音が鳴り響くーー
「……マリアンヌ様、その様なハンターの者等!」
オーギュスト、いやヴァンパイアハンターに対しての凄まじいまでの憎悪は今までも味わってきた。
「…ラズ、私は今、彼と話をしているの?」
マリアンヌ、それが彼女の名前の様だーー
ラズと呼ばれた少女は、ビクリとして怯えているようだった。
「…あっ、私…ごめんなさい」