春に咲く柚
素直な綺咲の言葉に、俺は柄にもなく、少し照れた。


片手で顔を覆い、赤面しているであろう表情を隠した。


そんな俺に、綺咲は焦ったような声を上げる。


「え? えっ? 柚先輩、どうかされましたか?」


本当に心配しているようで、綺咲の眉はハの字だ。


不安げな彼女の姿でさえ、思わず笑みが零れる。
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