春に咲く柚
「ん? それ違うよ」


やたらと緊張を誘う相手と共に。


「え? ……あ、う~ん……?」


私はノートに走らせていたペンを止め、横に開いていた付箋だらけの教科書を睨んでいた。


「……助ける?」


「う~……。意地悪です、柚先輩……」


眉間に皺を寄せて唸る私の何が可笑しいのか、柚先輩は隣の椅子に座りながら終始微笑んでいる。
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