春に咲く柚
「……んっ……」


という眠そうな声を出した柚先輩。


私は少し驚いて、カタン、と椅子を鳴らしてしまった。


それに柚先輩は薄く目を開き、


「……綺咲……」


と、寝惚けた声で言い、ムクリと身体を起こす。


「しまった、寝てたか……」


次いで柔らかく微笑み、私を見た。
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