春に咲く柚
「ん? んー、うん。いや、どうかな?」


「……何なん、彼。どっち付かずやなぁ」


「そうだな。ウザいな」


「いやいや、待ってよ」


鬱陶しげに顔をしかめる恋に、俺は真顔で同調する。


今まで張り付いたような笑みを崩さなかった恋。


そんな彼のその反応に焦りを覚えたのか、尚人が声を上げた。
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