春に咲く柚



「はい、知ってます。涼香ちゃんに一通りの話を聞きました」


帰りがけに、偶然会った綺咲。


自然と一緒に帰る流れになり、俺は尚人のことを訊いた。


「涼香ちゃん、凄く落ち込んでました……。嫌われちゃったらどうしようって、涙ぐんでいて……」


友人の力になれないのが悔しいのか、話している綺咲の瞳も次第に潤んできている。
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