春に咲く柚
体育祭当日。


始まってまだ間もないにも関わらず、校庭内は既に熱気で溢れている。


「いや~、あっついなぁ。皆よう走れるわ。なぁ、柚君?」


恋が学校祭用のクラスTシャツをパタパタと揺らしながら寄ってきた。


「お疲れ、恋。百メートル走一位おめでと」


一応そう労うと、恋は肩を竦めて応えた。


「柚君と尚君は借り物出るんやろ? そろそろ呼ばれるんとちゃうか?」
< 148 / 213 >

この作品をシェア

pagetop