春に咲く柚
つい没頭していると、すぐ隣の席から注意を受けた。


「綺咲ー? そろそろリボン配られるよ~?」


眉をハの字に垂らして、涼香ちゃんが言う。


その言葉に私は本を閉じると、教卓を見遣る。


教壇では担任が忙しく封筒の数を数えている。


恐らくあの封筒の中にリボンが入っているのだろう。


その間に学級委員が注意事項を伝え、リボンを配り始める。
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