春に咲く柚
そう言って腰を曲げて、私の顔を覗き込む柚先輩。


近付いた顔に、私の心臓は跳ねた。


カアッ、と赤くなる顔に、柚先輩は吹き出す。


「ふはっ。綺咲、もしかして緊張してる?」


楽しげに笑う柚先輩。


そんな先輩を見て、私の赤面が鎮まる訳もなく、私は口をパクパクと動かした。


すると柚先輩は微笑んだまま居ずまいを正して、言った。
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