春に咲く柚
「一緒に文化祭を回りませんか、アリスさん?」


そう言って右手を差し出してくる柚先輩。


私はドギマギしながらも、「はい」と答えて、先輩の手に手を乗せた。


柚先輩はニコッ、と笑ってから、


「じゃあ、行こうか、綺咲」


と言って、繋いだ私の手を引きながら歩き出した。


繋がれたままの手が、熱い。
< 173 / 213 >

この作品をシェア

pagetop