春に咲く柚
音のする方を向くと、柚先輩が微笑んでいる。


段々と近付いてくる柚先輩に、私はふっ、と笑みを零した。


私が座っている机の前の席に腰を下ろすと、柚先輩は窓の外を見て、笑った。


「皆はしゃぎ過ぎでしょ、あれ。っと、綺咲も下、行く?」


不意にそう問い掛けられて、しかし私は首を横に振った。


「少し疲れてしまったので、私はここに居ます。柚先輩は私に構わず行ってきて下さい」
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