春に咲く柚
「いや、俺もここに居るよ。綺咲さえ良ければね」


遠回しにそう尋ねられ、私は無言の微笑で応えた。


その意図を察した柚先輩が、優しく微笑んだ。


そして、


「好きだよ」


そう、言った。


私は目を見開いた。
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