春に咲く柚
”君が好きだ”


それはずっと欲しかった柚先輩の言葉。


ようやく、聞けた。


「ありがとう、綺咲」


小さく呟くと、柚先輩は私の手に自分の手を重ねた。


熱が伝わる。


そしてどちらからともなく、引き合うように、唇を重ねた。


触れる程度の、短いキス。
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