春に咲く柚
綺咲は、何も言わなかった。


何も言わず、俯いていた。


「えー、何その人、サイアク~」
「音羽ってあのイケメンっしょ? チョー残念」
「てゆか春宮さんも可哀想~。だってそれって……」


”遊ばれてるだけっしょ?”


その一言に、私はキレた。


綺咲と柚先輩の関係が”遊び”な筈ない。


柚先輩を一目見れば、どれだけ綺咲を大切にしているのかすぐに分かる。
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