春に咲く柚
「……っ」


クラスメイトは、言い返さない。


言い返せない。


綺咲の言葉が、正し過ぎて。


綺咲の声が、冷た過ぎて。


「何も知らない貴方達に、一体何が分かると言うの? 直接の面識もないクセに……柚先輩を悪く言わないでっ」


そこでようやく、綺咲は顔を上げた。


刺すような鋭い視線をクラスメイトに向けている。
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