春に咲く柚
家に帰っていることはまずないだろう。


そして街中を制服でウロつくような軽率な真似もしない筈だ。


となれば、綺咲はまだ校内に居る筈。


また、校内で綺咲が行きそうな場所は、一ヶ所しか思い当たらない。


ーーカララ……。


微かな音を立てて、俺は図書館の扉を開いた。


久々に来た図書館は相変わらず静かだ。
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