春に咲く柚
けれどその静けさの中に、小さな嗚咽が聞こえた。


「…………」


俺は無言で奥に進む。


そして、見付けた。


「……綺咲」


ビクッ、と肩を揺らすと、綺咲は顔を上げた。


その顔は、涙でグシャグシャだった。
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