春に咲く柚
「ははっ。君面白いね。一年生だよね? 俺は音羽柚季(おとわゆずき)。二年です。お名前教えてもらえるかな?」


一応他校生であるにも関わらず、『男子高の二年生』と名乗らないのは、既に今更だからだろう。


「えっと、春宮綺咲ですっ」


語尾が上がってしまうのは緊張のせいだ。


先輩だからというよりも、彼の容姿や雰囲気に圧倒されてしまう。


もしかしたら赤面していたかもしれない。


「キサキ? 珍しい名前だね。どういう字?」
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