春に咲く柚
「ははっ、うん、ごめん。少しイジワルした。君の反応が可愛くて。ごめんね?」


おどけたようにそう言って、先輩はイタズラっぽく微笑んだ。


そして私の言葉を聞く前に、続ける。


「あ、そだ。綺咲はリボン、どんなの?」


”綺咲”と、呼ばれた。


ただそれだけのことで、私の胸は跳ねた。


「えっと、ストライプです。淡い藤色と白の」

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